313系1100・1600・1700番台 | 神領車両区 | |
Multiple Unit 313-System 1100/1600/1700-series | at Jinryo rolling stock district. |
目次 |
このページは2006年に313系3次車として神領車両区に投入された1100/1600/1700番台について解説しています。2010年に投入された1300番台の情報や、大垣区のJ編成を含む1100番台編成表は運用変更情報'2010をご覧ください。
2006年の夏より313系の増備車投入が始まっていますが、大垣区の5000番台、静岡区の3100番台に引き続き、神領区に1100番台・1600番台および1700番台のの増備がなされました。10月に1100番台(4両編成)および1600番台(3両編成)が各2本配置されたほか、11月に入り1600番台が2本追加され合計20両となりました。11月10日の神領区113系の運用終了にともない中央線で運用を開始、2007年3月改正では一部が関西線にも乗り入れています。
さらに11月17日には、新たな3両編成1700番台が3編成配属となりました。これまでの1000番台シリーズと異なり、ダブルパンタや半自動ドアを備えるなど、寒冷地向けのローカル仕様となっており、2007年3月18日から飯田線を中心に運用が開始されています。
いずれの編成も車内仕様は1000番台に準じており、転換クロスシートを基本に車端部がロングシートの構成。方向幕からLED表示器への変更、HIDライトの採用など新仕様に応じた変更はなされていますが、5000番台に見られる車体間ダンパや全転換シートは採用されていません(これは5000番台特有の仕様と思われます)。
1100番台(4両編成)の編成番号はB4・B5、1600番台(3両編成)の編成番号はB104〜B107となっています。既存の1000/1500番台の続き番号が振られており、3月18日のダイヤ改正からは共通運用が組まれています。一方、仕様の異なる1700番台は編成番号もB151〜B153と別区分の番号が与えられており、現在のところ飯田線の限定運用となっています。
1100番台(4両編成)の編成図を以下に示します。今回の増備車では、既存の1000番台と区別するため、100が番台に付与されています。
←中津川 | 名古屋→ | ||
クモハ313-1100(Mc1) | サハ313-1100(T2) | モハ313-1100(M1) | クハ312-400(Tc'2) |
VVVF・SIV(150kVA)・シングルアームパンタ | CP(1000L/min) | VVVF・シングルアームパンタ | CP(1000L/min)・BT |
定員:142(着席48) 転換クロスシート・車端ロング | 定員:156(着席56) 転換クロスシート・車端ロング | 定員:156(着席56) 転換クロスシート・車端ロング | 定員:136(着席40) 転換クロスシート・トイレ |
B4編成 | クモハ313-1101 | サハ313-1101 | モハ313-1101 | クハ312-401 |
B5編成 | クモハ313-1102 | サハ313-1102 | モハ313-1102 | クハ312-402 |
基本的な編成は既存1000番台と同じですが、定員および搭載機器構成が若干異なっています。
1000番台の特徴である車内レイアウトを継承しています。扉間に転換クロスシートを5列、車端部にロングシートを配置したレイアウトで、運用線区である中央線の混雑を考慮したものとなっています。今回の増備で登場した5000番台はすべての座席を転換可能としていますが、このレイアウトはドア付近の立客スペースが著しく減少します。1100番台では混雑緩和を重視し、従来と同じレイアウトが取られており、ドア横の座席も固定となっています。
座席定員については、トイレが設置されているクハに変更があります。既存の1000番台ではトイレの横をボックスシートとし、車椅子固定スペースを確保することから、一人分の座席を除いた3人掛けシートとなっていました。今回の増備車では、まずトイレに改良が加えられました。車椅子では使用が困難であるとの指摘を受けて、トイレスペースを拡大、幅方向にふくらみを持たせた形状となっています。これにより、トイレ横の3人掛けシートは廃止され、クハのみ座席定員が3名分減少しています。トイレ横に座席が配置されないのは今回登場した3100番台、5000番台でも同様です。
ところで、既存1000番台編成のクハは車端部にロングシートが配置されないため、0番台車を組み込んでいました。1100番台においても車端部にロングシートがないことは同じですから、仕様変更でクハ312-100となるはずですが、実際には400番台という区分になっています。この理由については、機器構成の項で説明します。
その他の車両の定員については、座席数は変更ありません。クモハは48名、中間車のモハ・サハは56名です。しかし、クモハについては総定員が、既存の1000番台から2名減少し142名となっています。これは、運転席付近の機器配置の関係で、客室スペースが若干減少したためと考えられます。一方、中間車の定員は変更がありません。
既存の313系では、補助電源装置(SIV)をクモハに、空気圧縮機(CP)をクハに集中搭載し、その容量を編成両数によって変えていました。1000番台の構成は以下のとおりです。クモハに4両分のSIV、クハに4両分のCPを搭載しています。
クモハ313-1000 | SIV容量150kVA |
サハ313-1000 | |
モハ313-1000 | |
クハ312-0 | CP容量 2000L/min |
1100番台でもSIVの扱いは同じですが、異なるのは空気圧縮機(CP)の搭載方法です。これまでクハにのみ搭載していたCPをサハにも分散搭載しています。これによりクハ・サハとも2両分のCPを搭載することとなりました。これは5000番台も同様で、6両のうちクハ及びサハ計3両にCPを搭載しています。
クモハ313-1100 | SIV容量150kVA |
サハ313-1100 | CP容量 1000L/min |
モハ313-1100 | |
クハ312-400 | CP容量 1000L/min |
これにより、クハは2両編成と同じクハ312-300が組み込まれることとなり、かつ新仕様車としての100が付与され、400番台が与えられています。
編成図を以下に示します。こちらは3両編成です。
←中津川 | 名古屋→ | |
クモハ313-1600(Mc1) | モハ313-1600(M2) | クハ312-400(Tc'2) |
VVVF・SIV(150kVA)・シングルアームパンタ | VVVF・CP(1000L/min) | CP(1000L/min)・BT |
定員:142(着席48) 転換クロスシート・車端ロング | 定員:156(着席56) 転換クロスシート・車端ロング | 定員:136(着席40) 転換クロスシート・トイレ |
B104編成 | クモハ313-1601 | モハ313-1601 | クハ312-403 |
B105編成 | クモハ313-1602 | モハ313-1602 | クハ312-404 |
B106編成 | クモハ313-1603 | モハ313-1603 | クハ312-405 |
B107編成 | クモハ313-1604 | モハ313-1604 | クハ312-406 |
既存の1500番台と同様、中間電動車のモハ313-1600は片側のみ動力台車を履いた0.5M車です。一方、1100番台でも見られたように、空気圧縮機(CP)の搭載方法が1600番台でも変更されています。既存の1500番台では以下のようにクハに4両分のCPを搭載していました。
クモハ313-1500 | SIV容量150kVA |
モハ313-1500 | |
クハ312-0 | CP容量 2000L/min |
1600番台では、1100番台と同様にクハ312-400が組み込まれます。クハ312-400のCP容量は2両分ですので、これを補うため中間のモハ313-1600にもCPを搭載しています。
クモハ313-1600 | SIV容量150kVA |
モハ313-1600 | CP容量 1000L/min |
クハ312-400 | CP容量 1000L/min |
編成図を以下に示します。1600番台と同様の3両編成ですが、外観上の差としてクモハのダブルパンタや半自動ドアの採用が見られます。
←塩尻 | 名古屋→ | |
クモハ313-1700(Mc4) | モハ313-1700(M4) | クハ312-400(Tc'2) |
VVVF・SIV(150kVA)・発電ブレーキ スノープラウ・シングルアームパンタ×2 | VVVF・CP(1000L/min)・発電ブレーキ | CP(1000L/min)・BT・スノープラウ |
定員:142(着席48) 転換クロスシート・車端ロング | 定員:156(着席56) 転換クロスシート・車端ロング | 定員:136(着席40) 転換クロスシート・トイレ |
B151編成 | クモハ313-1701 | モハ313-1701 | クハ312-407 |
B152編成 | クモハ313-1702 | モハ313-1702 | クハ312-408 |
B153編成 | クモハ313-1703 | モハ313-1703 | クハ312-409 |
このように、クモハおよびモハのみが1700番台。クハは他と同様400番台になっています。
写真がなくて申しわけありませんが、図に示すようにクモハにパンタグラフを2基備えており、1700番台の外観上の大きな特徴となっています。寒冷地での路線では冬期の早朝などに架線に霜が降り、集電障害を起こすことがあります。そこでパンタグラフを2基上げ、先行するパンタグラフで架線の霜を削り、もう一方で集電を行うことがあります。このことから「霜取りパンタグラフ」とも呼ばれ、313系では3000番台(当初準備工事、後に増設)や3100番台に採用されています。
一方、車内は1100/1600番台と同様の構成です。ただし、ドアは半自動対応になっており、やはり寒冷地での運用に配慮されたものとなっています。当然のことながら、1700番台編成に組み込まれるクハ312-400も半自動ドアとなっており、同じクハ312-400でも、半自動ドア機構を持たない1100/1600番台編成分とは仕様が異なっていることになります。
1100番台および1600番台は、既存の1000/1500番台とほぼ同じ性格ですが、1700番台は機器構成も特有のものを備えています。3両編成ですので基本的な機器構成は1600番台と同じですが、特有の装備として、まず発電ブレーキ装置の搭載があります。クモハおよびモハにはブレーキ抵抗器(右写真)およびブレーキチョッパ装置を備え、閑散路線での回生ブレーキ失効に備えています。なお、313系の発電ブレーキは、回生ブレーキがある程度利かなくなっても、不足分のみを発電ブレーキで負担するブレンディング制御付きです。
また、写真ではわかりにくいですが、先頭車(クモハ・クハ)にはスノープラウが設置されています。このことから、積雪地での運用を考慮していることがわかります。また。動力台車には砂撒装置を搭載し、急勾配区間の走行にも備えています。この砂撒装置ですが、従来373系などに付いているものに比べて小振りです。砂ではなくセラミック粉を撒くタイプかもしれません。
車番が複雑になってきた神領車両区の1000番台を一覧表にしてみました。なお、この表は2006年時点のものです。2010年に追加投入された1100・1300番台の編成表は運用変更情報'2010をご覧ください。
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1100番台/1600番台は2006年11月に全6編成20両が出揃いました。対する神領車両区の113系運用は合計20両分ですので、置き換え分が揃った計算となり、11月11日には運用が置き換えられました。当時の運用はおおむね以下のとおりとなっていました。
一方の1700番台は、飯田線で試運転のみが行われていました。
JR東海は2007年3月18日にダイヤ改正を実施しました。これにともない1100/1600/1700番台はいずれも本格運用を開始しています。
既存の1000(4連)/1500番台(3連)と続きの編成番号が振られた1100(4連)/1600番台(3連)は、4連・3連でそれぞれ共通運用が組まれるようになりました。4両編成の1100番台は1000番台と共通運用を組み、平日土休日とも全5運用があります。中央線を中心に運用されるほか、愛知環状鉄道へも乗り入れます。また、3両編成の1600番台は1500番台と共通運用となり、全7運用。中央線・愛知環状鉄道のほか、朝夜の関西線にも乗り入れます。詳しい運用はJR東海運用情報をごらん下さい。また、以下に313系1500/1600番台3連の休日運用図を示します。
今回の改正では愛知環状鉄道への乗り入れが目立っています。平日朝ラッシュ時には同線瀬戸口からの中央線乗り入れ列車が2本設定されていますが、この2本ともが313系の10両編成となりました。また、日中には1000/1100番台4連が高蔵寺経由で岡崎まで愛環線全線を走行します。
一方の1700番台は、飯田線での運用がメインです。天竜峡〜岡谷間を中心に運用され、南は豊橋まで、北は「快速みすず」として篠ノ井線を経由しJR東日本エリアの長野(信越線)、東はJR東日本の上諏訪(中央東線)まで乗り入れます。こちらは2運用が確認されています。
さて、予備編成と代走について情報を加えます。これまで1000番台および1500番台は予備編成を持っておらず、検査時など運用から外れる場合には、211系5000番台の4連・3連で代走をしていました。今回の増備でどう変わったかを見てみます。
今回の増備ではこのようになりました。4両編成はこれまでどおりで、211系4連に予備編成を頼っており、3月18日改正直後には5運用のうち2本が211系での代走するという事態になっていました。一方、3両編成は、1500/1600/1700番台で共通予備編成を確保しているため、原則211系で代走することはありません。3両編成が検査入場の際には、中央線・関西線・愛環線でも1700番台の走行が見られることとなります。
JR東海では、以前より電気二重層キャパシタによる「鉄道車両用電力貯蔵システム」の開発を進めており、静岡区の313系3000番台V編成に試験搭載を行い実験を続けてきました。
今回の1100番台のうち、B4編成にはこの機構を積んでいるようです。右の写真にありますように、B4編成のサハ313-1101にはフィルタリアクトル、DC/DCコンバータが搭載されているのがわかりますが、B5編成のサハ313-1102にはありません。今回もどうやら試験搭載のようです。
なお、JR東海が研究中の電気二重層キャパシタについては、以下のページにシステムの紹介がなされています。
このページの写真は携帯カメラによるもので、さらに夜間の撮影が多く、ろくな写真がありません(笑)。きちんとした写真をご覧になりたい方は、以下のページをお薦めします。
今回の記事を作るにあたり、313系の側面画像を作ってみましたが、転クロバージョンのほかに3000番台バージョンと8500番台バージョンも作ってみました。お好きなようにお使い下さい。著作権は完全に放棄します。画像は1両ずつのgifファイルになっています。
クモハ313-3000(Mc3) | クハ312-3000(Tc'2) | |
クモハ313-8500(Mc1) | モハ313-8500(M2) | クハ312-8000(Tc'1) |